研究課題
基盤研究(C)
本研究課題は、1978年の発見以来長年謎であった星からのX線放射機構を解明することである。既存のX線天文衛星で観測した星のエネルギースペクトルに対し、我々が構築した輻射輸送まで考慮したプラズマの衝突輻射モデルを適用し、星からのX線放射機構を解明するというアプローチで研究を遂行した。我々の研究成果として、次の4つが挙げられる。(1)実験室プラズマから得たサテライト線を含むエネルギースペクトルに対し、我々が構築した輻射輸送まで考慮したプラズマの衝突輻射モデルを適用することで、より高精度な各元素のヘリウム様イオンの衝突輻射モデル開発を行った。ただし、輻射輸送などの効果の取り入れは、モンテカルロ法でのトイモデルの段階であり、今後天体プラズマヘの適用には更に改良をする必要がある。(2)実験室プラズマの適応を行い、鉄イオンの衝突輻射モデルの開発を行った。具体的には、我々が構築した衝突輻射モデルと、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置で得られら高温プラズマのエネルギースペクトルなどとを比較し、モデルの高精度化を行った。(3)X線天文衛星で観測した星のエネルギースペクトルの輝線の解析のため、星風のドップラーモデルを開発した。このドップラーモデルは、星風中で放射されたX線が、星風自身によって吸収されるというモデルである。(4)米国のChandra衛星、欧州のXMM-Newton衛星によるX線の輝線に対し、星風のドップラーモデルを適用させ、早期型星からのX線放射領域を決定した。今後は、2005年に打ち上げられた日本のX線天文衛星「すざく」で観測する早期型星などの解析も進める予定である。上記の成果に加えて、今後の計画として、天体プラズマのX線スペクトル解析をさらに進める必要がある。またトイモデル段階である輻射輸送モデルを発展させ、プラズマの運動の効果を取り入れるなどして、非平衡プラズマにも適用可能なプラズマの輻射輸送モデルの開発を行っていく。また天体プラズマ・太陽プラズマの輝線の解析を進めていく予定である。
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