研究概要 |
今年度は中性子星の「ハイペロン冷却」計算に必要な基礎的材料を核物理サイドから提供することを中心に研究を推めた。また,「パイオン冷却」と関係してバリオン超流動の検討を開始した。 1.ハイペロン冷却: (1)ハイペロン混在度及び有効質量の密度依存性に留意しつつエネルギーギャップを計算し,中性子星コアに混在するΛやΣ^-が充分に超流体となっていることを示した。また,冷却計算に必要なエネルギーギャップの密度,温度依存性について結果を提示した。 (2)ΛやΣ^-が関与するβ崩壊過程のうち,どれが実際に起こるのかを明かにするとともに,ハイペロン冷却にとってΛの混在が本質的であることを結論した。 (3)ハイペロン混在中性子星モデル,及び,ハイペロン超流動の定量的結果に基づき,「ハイペロン冷却」は低い表面温度が観測されている中性子星の冷却シナリオとして有力であることを強調した。 2.パイオン冷却: (1)最も現実的な中性-荷電パイオンの共存凝縮相を対象に,この下でのバリオン超流動を扱う理論形式を開発し,提示した。 (2)アイソバーΔ(1232)の効果を含めたエネルギーギャップ方程式を解くための予備計算を進め,実行可能性を確認した。 これら1,2の成果は,別掲の論文1,2として発表している。
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