この研究では大立体角磁気スペクトロメータの構成要素として重要な四極電磁石の口径をできるだけ大きくするために採用する変形四極電磁石の3次元磁場分布をできるだけ精密に予想できるようにすることを目的としている。具体的には四極電磁石の口径が一定でなく、入り口から出口までの間で口径が変化するような変形四極電磁石の磁場分布を扱った。 四極電磁石の長さを3通り、口径傾斜を5通り、電流密度を4通り、合計60通りの形状・電流に対する磁場分布を3次元磁場分布計算プログラムTOSCAから求め、各形状毎に294点の「実験値」を代数的に表す実験式とその中に含まれるパラメータを求めた。 口径傾斜がない場合には3通りの長さの四極電磁石に対する882点の値を7個の共通パラメータで再現することができた。 口径傾斜がある場合には15通りの長さ・傾斜の四極電磁石に対する4410点の値を10個の共通パラメータで再現することができた。口径傾斜のない場合の個別の形状を再現する場合の標準偏差と比べて、個別電流値ごとにの場合におよそ1.5倍程度の標準偏差となった。また60通りの長さ・傾斜・電流の四極電磁石の磁場分布17640点を共通パラメータでとすると約2倍の標準偏差で全ての値を再現できた。磁場勾配を2次元磁場計算から求めて規格化した場合でも約3倍の標準偏差で全ての値を再現できた。 一方で磁極端での磁場の滲み出し関数の選択が重要であることについて、2次元磁場分布表現を改善する方法を整理して論文として公表した。
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