強磁場を伴う回転星の平衡状態を求めるための定式化を行い、それに基づき数値計算法を開発し、これまでに求められたことのない平衡状態も計算できるようになった。 強磁場の存在は恒星の形状を球から大きく変形する。特に、ポロイダル磁場のみならずトロイダル磁場も存在する場合に、球形から変形した恒星の構造を求める手法はこれまでに存在していなかった。それは、定式化の段階で支配方程式と境界条件を考えた場合に、変形した恒星の表面における電流に対する制限を課すことができないと考えられてきたからであった。そのため、従来の定式化では変形した表面で磁場がゼロになるという条件をつけるか、磁場が弱いとした摂動計算しかなされていなかった。 今年度の研究では、バロトロープの仮定をした場合の電流jがHを磁場、ρを密度、Rを回転軸からの距離、eをR方向の単位ベクトル、fとgを任意関数、uは磁場のベクトルポテンシャルのφ成分にRをかけたものとするとj=f(u)H+g(u)ρReとなることを使用し、ここに現れる任意関数f(u)としてf(u)=a(u-u0)ととることで、磁場が無限遠でゼロとなり、しかも変形した恒星の表面では電流が流れないという条件を満たさせることができるようになった。これにより、自然な境界条件を満たしながら、表面に垂直な電流も存在することのない、球から大きくずれた形状の平衡状態も計算できるようになった。 現在は磁場入りの白色矮星の構造、回転が非一様になった場合の磁場入り回転ポリトロープの計算を行い、予備的な結果を得ている。
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