研究課題/領域番号 |
16540236
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅沼 秀夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (10291452)
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研究分担者 |
岡 真 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60144606)
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キーワード | 量子色力学(QCD) / クォーク / グルーオン / 格子QCD / 閉じ込め / 非摂動的真空 / 弦理論 / ベンタクォーク |
研究概要 |
強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)に基いて、クォークの閉じ込め、クォーク模型の成立、クォーク多体系の物理、高温でのクォーク・グルーオン・プラズマ相、等に関する独創性の高い研究を行ない、以下の研究成果を世界に先駆けて示した。 1.バリオンの性質と密接に関わる3クォーク・ポテンシャルの詳細な高精度の計算を、格子QCDを用いて実行し、それが2体のクーロン・ポテンシャルとY型の線形ポテンシャルの和で表される事を示した。即ち、核子などのバリオンにおいて、カラー電束の1次元化が、Y型の形状に沿って起こる。 2.3クォーク系におけるグルーオン的な励起エネルギーを、格子QCDによって求め、それが1GeV程度の大きな値であることを示した。従って、バリオンの低励起状態ではグルーオン的な励起モードが現れず、この事は、単純なクォーク模型が成立する物理的な理由を与える。 3.格子QCDによるペンタクォーク・ポテンシャル及びテトラクォーク・ポテンシャルの研究を、行ない、これらが、1グルーオン交換のクーロン相互作用と、フラックス・チューブ描像に基いた閉じ込め力の和で良く記述されることを示した。この成果は、ペンタクォークやテトラクォークに対するクォーク模型のハミルトニアンを、QCDに基づいて与えるという意味でも極めて重要である。 4.格子QCDを用いて、ペンタクォークに関する研究を行ない、軽いペンタクォークがコンパクトな共鳴状態には無いことを示した。 5.ゼロ温度及び有限温度でのクオーク・グルーオン混合凝縮に対する計算を行ない、QCD真空中でのクォークとグルーオンの相関が極めて強いことを指摘した。 6.QCDの弦理論を用いて、ペンタクォークの崩壊幅が極端に小さ三なる物理的理由を説明した。 7.格子QCDとシュウィンガー・ダイソン方程式とを組み合わせ、高温・高密度QCDでのクォークの様相を明らかにした。
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