研究課題
本計画は、超対称性を破る相互作用に対する閾値効果を取り上げ、摂動の任意次数で正しい一般公式を、超場形式に基づいて導くことを目指している。超対称性の破れに対する閾値補正(重い場の効果)には、離脱する場の種類に応じて、(1)カイラル・メッセンジャ模型:物資場(カイラル超多重項)が離脱する場合(2)ベクトル・メッセンジャ模型:ゲージ場(ベクトル超多重項)が離脱する場合、の二種類があるが、前年度は後者の場合への拡張を検討した。今年度は前者(1)の場合を再検討した。具体的には、我々の一般公式の応用例として、SU(5)大統一模型の場合にSU(5)対称性が破れるスケールでの閾値補正を取り上げ、既存の結果と比較検討を行った。波動関数くりこみ因子が連続的に接続するとの仮定の下にAパラメータ(スカラー場の三点結合)を求めたところ、以前にPolonsky & Pomarolが得た結果と食い違いがあることが見つかった。我々は、その食い違いの原因を波動関数くりこみの素朴な接続条件と特定し、摂動的に改善された接続条件を超場形式で扱うことにより、Polonsky & Pomarolの結果を特別な場合として正しく含む一般公式を導出した。この成果は論文に発表した(新潟大自然研博士後期課程の松浦弘幸氏、九州大の吉岡興一氏との共同研究)。さらに、超対称極限での接続条件を、摂動論を超えて扱う可能性を検討した。
すべて 2007
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Progress of Theoretical Physics 117, 2
ページ: 395-400(6)