1.π中間子・ρ中間子・軸性ベクトル中間子を含む新しい有効理論の構築 「隠れた局所対称性」の枠組みで、π中間子・ρ中間子に加えて軸性ベクトル型中間子(a_1中間子)を含めた有効理論で、組織的に量子補正を取り入れ、カイラル対称性の回復を調べました。そして、この理論においてカイラル対称性の回復が起こるときには、ρ中間子とa_1中間子の質量が軽くなることを示しました。(成果はPhysical Review Dに掲載) 2.カイラル対称性に基づくφ中間子の1光子放出崩壊の解析 カイラル対称性に基づき、擬スカラー中間子・ベクトル中間子に加えてスカラー中間子を含む新しい有効模型を構築し、それを用いて、ベクトル中間子であるφ中間子が1光子と2個の擬スカラー中間子に崩壊する課程を調べました。そして、その枠組みでK中間子による量子補正が重要な効果を与えることを示しました。(成果はPhysical Review Dに掲載予定) 3.ラージ・フレーバーQCD相転移点近傍でのπ^+-π^0質量差の解析 ラージ・フレーバーQCDの相転移点近傍において、クォークの伝播関数に対するシュウィンガー・ダイソン方程式と中間子の波動関数に対するベーテ・サルピーター方程式とを組み合わせ改良ラダー近似を用いて解くことにより、π^+中間子とπ^0中間子の質量差を調べました。そして、これまでの解析で示されていなかった増大因子があることを示しました。(成果はProgress of Theoretical Physicsに掲載予定)
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