• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

有限温度・有限密度QCDにおけるカイラル相転移とハドロンの性質の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16540241
研究機関名古屋大学

研究代表者

原田 正康  名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (40311716)

キーワード量子色力学(QCD) / カイラル対称性 / 低エネルギー有効理論 / 有限温度相転移 / ベクトル中間子ドミナンス / シュウィンーガー・ダイソン方程式
研究概要

近年、AdS/CFT対応に基づき超弦理論から導かれた模型(holographic model)を用いたハドロン現象の解析が多くの研究者により行われています。私は、この模型と、QCDの低エネルギー有効理論として組織的展開法が確立している「隠れた局所対称性」理論(HLS理論)の対応に着目し、holographic modelへの系統的補正の取り入れ方を提案しました。(成果はPhysical Review Dに掲載)
私は以前に、カイラル対称性の相転移点近くではρ中間子が軽くなりπ中間子とρ中間子がカイラル対称性のもとでパートナーとなるという、これまでには考えられていなかった新しい型のカイラル相転移(Vector Manifestation : VM)が起こることを指摘し、それまでに知られていたドロッピングρ模型に対する理論的裏付けを与えました。これまでのドロッピングρ模型の解析ではベクトル中間子ドミナンスが仮定されていましたが、VM型相転移では、これが大きく破れていることが特徴です。そこで私は、実験結果との比較が行えるよう、VM型相転移の枠組みでレプトン対スペクトルを調べ、通常のドロッピングρ模型よりも低いスペクトルが予言されることを示しました。(成果はPhysical Review Dに掲載)
グルーオンとの相互作用により、クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)相においてクォークがカイラル対称性を保つ質量を持つことが、摂動的QCDに基づき指摘されています。しかし、最近のRHIC実験結果より、相転移点近傍は強結合領域であり、摂動論は適用できないことが示唆されています。そこで私は、シュビンガー・ダイソン方程式を用いて強結合領域におけるクォーク・スペクトルを解析し、相転移点近傍ではクォークの崩壊幅が非常に大きく、準粒子描像が悪くなっていることを示しました。(成果は公表予定).

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Thermal Dilepton Production from Dropping rho based on the Vector Manifestation2006

    • 著者名/発表者名
      Masayasu Harada
    • 雑誌名

      Physical Review D 74

      ページ: 114006

  • [雑誌論文] Implications of Holographic QCD in ChPT with Hidden Local Symmetry2006

    • 著者名/発表者名
      Masayasu Harada
    • 雑誌名

      Physical Review D 74

      ページ: 076004

  • [雑誌論文] Chiral approach to phi radiative decays2006

    • 著者名/発表者名
      Deirdre Black
    • 雑誌名

      Physical Review D 73

      ページ: 054017

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi