研究概要 |
本研究は、太陽表面で生成された高エネルギー(>100MeV)中性子を地上で検出することにより、太陽表面における高エネルギー粒子加速機構を解明することを目的とする。本科研費においては、太陽地球環境研究所の有する24時間太陽中性子観測網のうち、最も太陽中性子の観測条件にすぐれている、ボリビア・チャカルタヤ(南緯16度、高度5,250m)の検出器を改良し、次期太陽活動期における太陽中性子観測の拠点とることを目的とする。中性子は大気中で減衰するため、太陽中性子の観測には赤道付近の高山がその観測には望ましい。これまでの観測装置は15年以上前に作られたデータ収集システムを利用した旧式のものであり、特にデータ記録媒体である8mmテープは既に世界中で使用されなくなったものであり、今後の太陽中性子観測には不適なシステムであった。本年度の科研費を利用し、新たにパソコンを購入し、LinuxによりCAMACからデータを取り込むシステムを開発し、取得データはディスクに記録、CDへのコピーによりデータを持ち運ぶことにした。平成16年8月にボリビアにわたり、今後のデータ収集体制について議論した。その後の試験期間を経て、これらのシステムをボリビアに送り、平成17年2月より現地で稼動させることに成功した。まだ稼動させたばかりではあるが、順調にデータ収集が行われ、また、CDへのコピーも問題なく行われている。本システムがチャカルタヤで順調に動いていることから、同じく太陽中性子観測に有利な赤道高山にあるメキシコの装置(北緯19度、高度4,600m)も同システムに置き換えることに決定し、現在別途予算において同形式データ収集システムの開発を行っている。なお、チャカルタヤの装置を置き換える際、無停電電源も本科研費で購入した新しいものに置き換えている。
|