研究課題
基盤研究(C)
本研究代表者は、科学研究費補助金基盤研究(C)のサポートを得て、電子シンクロトロンからの新しいビーム取出し法の研究をおこなってきた。実験は、京都大学化学研究所に設置されている電子蓄積リングKSRを用いておこない、60MeVの電子ビームを蓄積したのちに、それを非常にゆっくりと外部に取り出して、実験ターゲットまで輸送することに成功した。具体的には、10^4e^-/sec程度のビームレートで、新たな入射をすることなく、1000秒間にわたって、連続的に電子ビームを取り出している。この取出し方法では、通常の遅い取出しに加えて、蓄積電子ビームと残留ガスとの散乱を積極的に利用するというユニークなものである。また、実際の実験では、取出したビームレートを変化させることが不可欠であるので、入射ビーム量の制御と水平方向高周波キッカーの併用することによって、10^3〜10^7e^-/secまでビームレートを任意に制御することにも成功した。実際にこうして作られた電子ビームを利用して、東京大学・KEKを中心としたグループによるμ→eγ稀崩壊実験のための液体Xe検出器の試験や、理化学研究所を中心としたグループによるSelf-Confining Radioactive ion Target(SCRIT)の反跳電子検出器試験などがおこなわれた。また、大阪大学を中心としたグループによるストローチェンバー開発や、京都大学理学部を中心としたグループによるエアロジェルチェレンコフカウンター開発、京都大学化学研究所を中心としたグループによるMicro Channel Plate(MCP)をもちいたビームプロファイルモニタ開発など、新しい検出器のR&Dも、この電子ビームをもちいておこなわれている。
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Beam Science and Technology 9
ページ: 3
Proceedings of the 1st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan
ページ: 429