1. ^<12>Cにおける3αのボーズ凝縮状態の研究としては非弾性電子散乱を通じて得られる知見は何であるかに集中した。その結果2番目のO^+状態(所謂Hoyle状態)の場合は、形状因子のNodeの位置はその状態の半径に対して依存性が弱いことを見出した。その代わりに形状因子の振幅はHoyle状態の半径の変化に敏感に対応して大きく変化することを見出した。この研究は雑誌論文にまとめられ既に出版された。 2. ^<16>Oの4αの閾値付近に(α、α')によりO^+状態が実験により発見されたが、この非弾性励起の微分断面積の大きさと形は、この状態を4α凝縮状態だと仮定すると、理論的に良い再現を得ることが出来る。これらの研究を発見者の実験家たちと共著の形で論文にまとめ投稿した。 3. 4αの4体問題を直交条件模型を用いて解いて、実際に4αの閾値付近に4α凝縮状態が得られるのかどうかを研究した。その結果、4αの閾値より低い励起エネルギー領域には、^<12>C+αの2体クラスター構造の状態が得られ、このことは従来の構造研究と整合する。そして、問題の4αの閾値付近には確かに4α凝縮状態と思われる大きな半径の状態が得られた。この計算で得られた状態の詳しい分析は今後の課題であるが、^<12>Cの3αのボーズ凝縮状態にα粒子が結合した構造の成分が多く含まれることが明らかにされていて、この理論状態が4α凝縮状態であるとする見解を支えている。共鳴状態の取り扱いには新ACCC法を用いた。 4.Skyrme HF計算によって得られた波動関数の中にクラスター構造の成分がどれほど含まれているかの研究を行った。研究は論文にまとめられ既に出版された。
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