原子核図表のさまざまな領域において新しいタイプのクラスター構造が研究されてきている最近の研究状況に適切に対応してこの新しい研究動向の本格的推進を目指し実行した。 研究は3つ研究分野について推進された。それらは、「中性子過剰核でのクラスター構造」と「クラスターのガス状態」と「超変形とクラスター構造」の3つである。 「中性子過剰核でのクラスター構造」の分野ではrAMD(反対称化分子動力学)を用いたNeの中性子過剰同位体の研究」の課題についてこの研究計画以前の研究をまとめる作業を行った。この分野での新しい研究課題として「Di-neutronクラスター相関の研究」を開始し、Di-eutronクラスターのボーズ凝縮波動関数とAMDを結合させた理論形式を新たに開発した。 「クラスターのガス状態」の研究分野はこの研究計画の中心的テーマであったが、実験研究者との協力のもとに実験データの分析を行って、「12Cと160におけるαクラスターのボーズ凝縮状態の研究」を行った。12Cの研究は3αクラスターのボーズ凝縮状態とその励起状態の存在を確証する段階まで突き詰めめるに至った。160においては4α直交条件模型による研究を新たに開始して4αクラスターのボーズ凝縮状態の候補の同定を行うまでに至った。この研究では「幅の広い共鳴状態の理論的取り扱いの新しい方法」の開発に成功しその新方法を縦横に活用した。 「超変形とクラスター構造」の研究分野では、「32Sにおける超変形状態と160+160分子状態の関係についての研究」の課題についてこの研究計画以前の研究をまとめる作業を行った。この分野での研究課題としては「40Caと44Tiの超変形構造とクラスター構造の研究」を中心的に追究した。平均場的構造とクラスター構造の相互浸透と独立的共存の多彩な実現の状況を明らかにした。この研究のために「クラスター構造を拘束条件として取り入れる変分計算手法」の開発も行った。また「Hartree-Fock波動関数の中に含まれているクラスター構造成分の研究」も行った。
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