研究概要 |
1)中性子過剰Mg,Cr,Feアイソトープにおける新しい型のK=0ソフトモードの理論的示唆 昨年度に引き続き、変形した中性子過剰核における新しい集団励起の発現可能性とその微視的機構を調べるために、原子核の変形,対相関,連続状態への励起を考慮に入れた準粒子RPA法を用いて、中性子過剰Mg,Cr,Feアイソトープにおける低励起振動モードの性質を系統的に分析した。その結果、対相関の非等方な揺らぎと平均場の変形揺らぎが結合して新しい型のソフトな0+振動モードが現れることなど興味ある結果が得られた。 2)ゲージ不変な大振幅集団運動理論の定式化 Adiabatic Self-Consistent Collective Coordinate (ASCC) Methodを粒子数揺らぎ自由度(対回転)に関するゲージ不変性を満足するように一般化した新しい定式化に成功した。 3)Se領域の変形共存現象の微視的記述 ASCC法に基づいて、陽子過剰Se領域に見られるオブレート変形とプロレート変形の共存現象と多体トンネル現象を微視的に分析した。2つの平衡変形を結ぶ集団経路を自己無撞着に決定し、大振幅集団運動の慣性質量を微視的に導出することに成功した。集団経路上の四重極対相関場の運動量依存(time-odd)項が慣性質量に重要な寄与をもたらすことを示した。得られた集団ハミルトニアンを正準量子化しオブレート変形状態とプロレート変形状態の混合の性質を分析した。
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