研究課題
基盤研究(C)
本研究の主要な目的は、カイラル・クォーク・ソリトン模型に基づき、一般化パートン分布の研究を通じて核子のスピン構造を解明することであった。一般化パートン分布は3つの運動学的変数に依存する複雑な関数であり、これを私達の模型の特徴であるディラックの海の偏極の効果を非摂動論的に取り入れて計算するのは極めて難しいので、まずは、非偏極一般化パートン分布HやEの前方極限、そして、HやEの1次や2次のモーメントとして定義される、4元運動量移行の関数としての一般化形状因子に対する理論的予言を与えた。これらは、3変数に依存する一般化パートン分布の、1断面を表す物理量に過ぎないが、核子のスピン・コンテンツの解明に本質的な役割を果たすことを確かめた。この解析の過程で、核子のスピン・コンテンツのスケール依存性に対する観測事実のみを用いた、ほとんど模型に依らない予言ができることに気づき、核子のスピンを運ぶ構成子の役割が、1GeV以下の低エネルギー・スケールと1GeV以下の高エネルギー・スケールでは非常に異なる可能性を指摘した。この遷移エネルギー領域の物理の解明は、低エネルギー領域の非摂動論的QCDと、高エネルギー領域の摂動論的QCDを結ぶ架け橋となるもので、極めて重要な意味を持つ。核子のスピン・コンテンツのスケール依存性に対する私達の予言の正否は、近い将来の一般化パートン分布の精密測定により実験的に確かめられるはずである。これらの主要研究と並行して、transversity分布と縦偏極分布を比較した理論解析や、ニュートリノ散乱で観測されたWeinberg角の標準理論からのずれに対するNuTeV anomalyの理論解析を実行した。また、核子のカイラリティ奇、ツイスト3の分布関数e(x)にデルタ関数型の特異性が存在することを解析的に証明し、その原因がQCDの非自明な真空構造にあることを突き止めた。
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