研究概要 |
^4Heの光分解反応^4He(γ,n)のE1断面積を^4He(^7Li,^7Be)反応から導出する方法を明らかにした。太陽質量の10倍程度の恒星は終末期に重力崩壊して超新星爆発を起こして、我々身の回りに存在するさまざまな元素を合成すると考えられている。この爆発の鍵を握るのはニュートリノという素粒子である。この粒子は弱い相互作用しかエネルギーのやり取りはせず、重力崩壊のエネルギーの90%はニュートリノが持ち出してしまう。これまでの理論によれば超新星爆発を起こすにはニュートリノがそのエネルギーを物質に与える必要があることが分かっている。重力崩壊するとき恒星のコアの周りに大量に存在するのが^4Heである。^4Heの励起状態を調べ、ニュートリノとの相互作用で物質にエネルギー転換する量を評価するのに^4Heの励起状態を調べた。 ^4Heの励起状態はアイソベクトル型双極子状態が強い強度で存在する。Ex=20MeVより高い励起エネルギー領域に巨大双極子共鳴状態(GDR)が存在し、その強度分布がニュートリノとの相互作用で鍵を握っている。にもかかわらず、これまでの測定結果や理論計算では統一した結果が得られていない。最近の実験結果は状況をさらに混乱させている。 これまでと全く違った方法で^4HeのGDRを測定し、その強度分布を求めることに成功した。結果は^4HeのGDRはEx=27MeV付近にピークを持つ共鳴状態のような構造を持つことが明らかになった。同時に測定されたもう1つの双極子共鳴であるスピン-ダイポール共鳴SDRの強度分布も明らかにした。^4HeのSDRはEx=24MeV付近にGDRより幅の狭い共鳴状態として存在していることが分かった。
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