研究課題
基盤研究(C)
平成16年度は、前年度まで行っていたgluino condensate prepotentialに関するA.Morozov及び菅野との一連の共同研究の新展開を期すべく、N=2超対称性の部分的自発的破れに関する研究を大阪市大藤原・阪口と協同して集中的に行い、二編の論文と一編の会議録収録にまとめた。局所的な場の理論に於いては、重力を含まないN=2超対称性の部分的自発的破れは起こりがたいと従来思われて来た。第一論文で、我々はこの拘束を逃れたU(N)gauge模型を構築することに成功した。superpotentialのためにあらわにN=1に破れた場合との比較を行い、N=1への自発的破れは物理的に興味のあるSU(N)部分に影響を及ぼす事が判明した。第二論文では、更にこの模型の持っている縮退した真空の同定を行った。scalar場の期待値に対して同時対角化可能な配位を持つ真空を尽くし、安定な真空がN=1を持つことを示し、この真空上でのN=1 supermultipletの質量の導出に成功した。平成17年度は前年度の大きな成果であるところの超対称性の部分的破れを起こす模型の構成、真空達の同定及び質量公式の導出等の研究を、藤原・阪口と協力して更に進めた。harmonic superspaceを使用し、明白な形でN=2の超対称性をLagrangianが持っていることを証明した。同時に物質場が入っている場合への拡張に成功し、これら2つの論文の結果をSUSY 2005で講演した。超対称性の部分的破れはlocalな対称性の場合にも極めて重要である。丸吉の修士論文の指導として、超対称性を部分的に破るU(N) gauged N=2 supergravityの模型を考察し、質量公式、破れた真空上のpotentialの記述に成功し、結果を論文としてまとめた。散乱振幅に対するequivalence theoremを確認することにより、このsupergravityの模型はrigidな模型との関係づけが可能になると考えられる。USp行列模型ではMoore-Nekrasov-Shatashviliの仕事を参考にして、経路積分が厳密に遂行できると考えられる。まず、前年度に吉岡と行なった仕事を発展させ、orientifoldingとZ_3 orbifoldingを課した後、supersymmetryが生き残る配位を全て尽くし、論文にまとめた。今年度後半は木原・吉岡と協力して、USp行列模型の分配関数の厳密決定に取組み、その計算が進行中である。prepotentialの理論とN=2超対称性の部分的破れのここ4年間の成果を中心に、大阪市大で11回にわたって、東工大で3日間にわたって講義を行いlecture noteにまとめた。
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