研究課題
基盤研究(C)
B中間子の崩壊過程の理論計算には、B中間子の光円錐波動関数や形状関数が不可欠である。本研究では、これらのQCDに基づく系統的扱いを発展させ、B中間子内部の動的グルーオンに由来する効果の計算を行った。光円錐波動関数、形状関数について、これらを定義するQCDの演算子を質量殻上にないグリーン関数に挿入して1ループ補正を計算した。従来から指摘されていたループ補正の"特異な振舞い"は、質量殻上にある・なしに関わらず生じること、紫外領域と赤外領域でループ補正の振舞いが全く異なること、赤外領域での主要な寄与は"ソフトな"モードに対応し局所演算子行列要素で表現できることがわかった。この結果をもとに、B中間子光円錐波動関数および形状関数を演算子積展開を用いて、あらためて長距離部分と短距離部分に分離し直した。短距離部分はループ補正をMSスキームで計算し、長距離部分は局所演算子の完全系で表した。特に、次元5および6の演算子は、QCDの運動方程式が与える拘束条件を用いて、動的グルーオンを含むクォーク・反クォーク・グルーオンの3体局所演算子として厳密に表現できることがわかり、その行列要素の定量的評価も、従来のQCD和則の計算結果を利用して直ちに得られることがわかった。短距離部分については、2重対数型の特異な因子を通してくりこみスケールに依存することがわかり、動的グルーオンの効果を正しく考慮すると、光円錐波動関数および形状関数は、cusp異常次元と、局所演算子の異常次元との"2段階"のくりこみ群発展で記述されることがわかった。研究途上で研究分担者が急逝したため、未発表の部分、未解決の部分(特に、B中間子崩壊率への応用)が残ったが、今後進めていく。また、動的グルーオンの効果が本質的な他のモデル・ケースとして、高エネルギーハドロン散乱での偏極現象にも着目し、QCDに基づく機構の解明と理論的予言を行った。
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