研究課題
世界最高性能を維持しているKEKB加速器でビーム計測を行った。ベータトロンチューン測定システムの改良により、測定精度が向上し、より精密な測定ができるようになった。その結果、以下に示すように、リング型加速器のビームダイナミクスに関する新たな知見が得られた。(1)KEKBの有限角衝突実験に於いて、水平方向に軌道オフセットをもって行われていることがバンチ毎ビーム位置モニターによる測定からわかった。この軌道オフセットは、電子雲が関係していることを示唆しているデータが得られた。(2)ビーム・ビームチューンシフトの測定から水平方向のエミッタンスを推定し、このエミッタンスがビーム電流で変化することを示し。計算結果とも合うことを示した。(3)ダイナミックビーム・ビーム効果を評価する時、ベータトロンチューンは、ビーム・ビーム効果に影響されたチューンを使うべきであることを実験的に示した。これら(1)(2)(3)の成果は、アメリカ物理学会誌に記載された。(4)陽電子リングの水平チューンは半整数の極近傍にセットされている。このチューンスペクトルが乱れるという現象が観測され、この乱れがKEKの陽子シンクロトロン運転によることを示した。この原因探し過程で、改良されたチューンモニターが重要な役割を演じた。チューンをさらに半整数に近づけると、半整数共鳴によると思われる影響が観測された。半整数共鳴の問題は、基本的な問題であるが、実験的な検証はあまりない。今後の研究が期待される。(5)電子リングのチューンスペクトルが非対称になることが観測されている。これは、イオンが電子に付着しているのでないかと疑われている。このイオンが電子陽電子ビーム衝突過程で増勢される現象であることを実験的に示した。今後の研究が期待される。
すべて 2005
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Physical Review Special Topics - Accelerators and Beams 8
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