研究課題
基盤研究(C)
1.IIB行列模型の、重力子超多重項に属する場の放出・吸収を記述する頂点演算子について研究した。IIB行列模型の頂点演算子は超重力理論の散乱振幅との対応づけのために重要であり、また行列模型の低エネルギー有効作用に関する知見をもたらす。今年度は、北澤教授、齋藤氏との共同研究により、新しい漸化式を用いた手法等を開発することによって未知の表式を決定することに成功し、完全な形の導出にさらに近づいた。また、6次元ヤン-ミルズ理論の0次元リダクションによって定義される類似の行列模型の性質を調べ、そのラージN極限がNS5-ブレイン上のリトルストリング理論になっていることを示唆する数々の証拠を得た。2.超弦の新しい共変な量子化である「ピュアスピナー形式」の4及び6次元時空への拡張に関して研究した。グリーンシュワルツ形式とピュアスピナー形式を関係づけることが10次元の場合に知られている「ダブルスピナー弦」を用いて、低次元ピュアスピナー弦が非臨界弦と関係づけられることを示した。3.平坦およびPP波上のタイプII超弦にも、非自明な無限個の非局所保存チャージが存在することを示し、T-デュアリティーによって局所⇔非局所保存チャージの取り替えが一部起こることを指摘した。また、弦がコンパクト化空間内で巻き付き数をもつ場合にも矛盾なくチャージを定義する積分経路を明示した。4.M理論とE_<10>シグマ模型の関係に関する発展にヒントを得て、5次元単純超重力とハイパボリックG_2カッツ-ムーディー群のあるコセットをターゲット空間とするシグマ模型について研究した。(i)5次元超重力の運動方程式やビアンキ恒等式が、レベルを3以下に切断したシグマ模型の運動方程式から(一部を除いて)再現されること(ii)G^H_2のA_3による分解を行い、高次分補正項に対応したスケーリングに対応するA_3一重項が存在することなどを示し、11次元理論との類似が認められた。
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