研究概要 |
(1)モノリシックAPDアレイ検出器による^<197>AuのL-内部転換電子検出 ^<197>AuのL-内部転換電子線(エネルギー63keV以下)の検出を行うため、モノリシックシリコン製アバランシェ・ダイオード(Si-AD)アレイ(ピクセルサイズ:^H6×^V1mm、垂直方向にピッチ:1.1mmで3列配置)を新たに製作(浜松ホトニクス(株)に特注)した。これまで使用していた素子と比べて、散乱X線の影響をさけるために垂直方向の立体角をなるべく小さく、一方、内部転換電子線検出の効率を高めるため水平方向の立体角が大きくなるように設計されたものである。この測定装置の評価を、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設(PF)・垂直ウィグラービームラインBL-14Aにて行い、エネルギー分解能のバイアス電圧依存性、時間分解能などを77.35keVのX線ビームによって金箔から放出されるL光電子(L-内部転換電子のエネルギー分布を模擬できる)を使って調べた(課題番号:2004G031)。そのうえで、2004年10月にSPring-8 BL09XUにてNEET観測実験を行った(課題番号:2004B0783-ND3b-np)。現在NEET確率の値とその入射エネルギー依存性について、データ解析中である。また2個のアレイのうちの1個の動作が不安定だったので原因調査の上で今後さらに改良する必要がある。 (2)金K吸収端近傍における発光スペクトル測定 上記SPring-8での実験において、金K吸収端近傍の入射X線エネルギーに対する金の特性X線強度を測定した。検出器としてX線用純ゲルマニウム検出器(BL09XU備品)を用い弾性散乱の影響を避けて入射ビーム偏光面上に配置して、入射X線エネルギーを変えながら金箔からのK□、K□線のピーク位置、ピーク形状、強度を調べた。このうちK□_<1,3>(77.98keV,77.58keV)はK殻電子空孔状態からM_2、M_3殻電子空孔状態への遷移である。^<197>Au-NEETにかかわるM_1殻電子空孔状態と関係が深いので、実験によって得られたK□_<1,3>ピーク強度変化とNEET確率の変化との関係を今後調べる予定である。
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