1.モノリシック・シリコン・アバランシェダイオード(Si-AD)アレイ検出器の改良 H16年度で製作したモノリシックSi-ADアレイ(ピクセルサイズ:^H6×^V1mm、垂直方向にピッチ:1.1mmで3列配置)2個のうちの1個は、逆バイアス電圧印可時に不規則にノイズパルスを生じて不安定となった。これは、電子線の照射を受けたSi-AD表面の酸化シリコン層で帯電が生じ、その結果、有感部周囲などでランダムな放電が発生、過大な入力による増幅器の損傷が生じることが原因と推定された。帯電の緩和が期待される窒化シリコン膜によるSi-AD素子製作と増幅器入力部の過大入力からの保護対策を検討中である。 2.新たなNEETモデルの検討 2004年10月SPring-8 BL09XUにおいて実施した、金-197のNEET確率を測定する実験(課題番号:2004B0753-ND3-np)の結果を解析し(Phys.Rev.Lett.に投稿済み)、実験で観測された入射X線エネルギーに対するNEET確率の変化を考慮してモデル化、NEET確率の計算(研究協力者となるE.V.Tkalyaによる)をあらためて行い、測定されたNEET確率について検討した(Tkalyaとの共著による論文準備中)。この結果を確かめ、応用研究に発展させるべくH18年度以後の研究課題として申請中である(H18年度基盤研究(B))。 3.NEET実験およびSi-AD検出器に関するESRFでの発表 2005年9月3日に行われたESRF(欧州放射光施設、フランス、グルノーブル)での「APD Detector Workshop」にて金-197のNEET実験を含めたSi-AD(APD)検出器の可能性について発表を行った。
|