研究課題/領域番号 |
16540276
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
榊 泰直 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究副主幹 (00354746)
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研究分担者 |
高橋 博樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究員 (10370420)
上窪田 紀彦 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (10183782)
古川 和郎 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (00190132)
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キーワード | 挙動分析 / シミュレーション / 線形加速器 |
研究概要 |
本研究課題にて、当初利用する予定であった波形記録装置は、10MS/sというデジタル変換性能であった。この波形装置を用いてKEKBでデータを収集を目指したが、KEKBのビーム波形幅(数百ナノ秒)が短すぎ、また、規模が大きすぎて突発的なビーム挙動変化と、その原因を究明することが困難であった。そこで、小規模でありながら自由電子レーザー用施設として実績を作っている日本大学量子科学研究所の線形加速器(ビーム幅20μ秒)に協力を依頼してデータ収集系を構築し、突発的なビーム挙動変動データを収集した。 これらの計測系の構築及び計測データの予備的解析結果を、日本大学の修士課程の高崎氏が、「電子線形加速器におけるパルス内ビーム変動に関する研究」として修士論文をまとめ上げ、突発的なビーム挙動の変化と大電力高周波源等の関係を定性的に明らかにした。 また、日大と同じような規模の海外の加速器においても波形記録装置を用いてデータ収集することを考え、以前から交流があったスイスPSI加速器でも、加速器性能データ系を構築した。この結果、線形加速器のビーム変化特性は、ほぼ加速器の規模に依存することが理解された。 ビーム変化は、10MS/sの波形記録装置では分解能が不十分なことが多く、統計的・数理工学的な解析によっても情報が得られなかったために、ADC速度を200MS/sまで向上させたものを製作し、日本大学にて継続的にビーム挙動変化過程データの収集を行っている。一方、物理モデル解析においては、計測された高周波電力データを用いてビーム加速ゲインを偏微分方程式を数値的いて計算するコードを開発し、突発的なビーム挙動が起こる場合に、加速ゲインにどのような過渡的変化が起こるかをシミュレーションできるようにした。シミュレーションでは、高周波電力計測データからは目測では認識できない波形揺らぎが現れ、それが計測されたビーム波形の揺らぎの周波数成分(高周波電力の電源内の揺らぎ)と一致することを示すという成果を得た。
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