平成16年度に構築した(量子ホール系の電子温度と電気化学ポテンシャルの時空問変動を記述する)熱流体力学理論を応用して以下の計算を行った。 1.量子ホール細線の熱流体力学的不安定性 リング形状をもつ量子ホール系において、誘導電場が負性微分抵抗の領域にあり一様定常状態が不安定化する場合の時間空間変動を計算した。簡単のため細い系を考え、電流方向の変動のみを考慮した。平成17年度には一様定常状態からのゆらぎの一次のみを考慮して線形安定性解析を行い、ゆらぎの成長率は電流方向の波数がゼロからはずれたところに最大値をもつことを見いだした。この結果は一様定常状態から周期的な空間変動の状態へ転移することを示唆している。そこで本年度は、この時間発展を求めるため時間と空間について離散化した数値計算を始めた。計算手法の開発はほぼ終了したが、結果の解析は次年度に行う予定である。
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