研究課題
1.量子ホール細線の熱流体力学的不安定性リング形状をもつ量子ホール系において、誘導電場が負性微分抵抗の領域たあり一様定常状態が不安定化する場合の時間空間変動を計算した。簡単のため細い系を考え、電流方向の変動のみを考慮した。平成17年度には一様定常状態からのゆらぎの一次のみを考慮して線形安定性解析を行い、ゆらぎの成長率は電流方向の波数がゼロからはずれたところに最大値をもつことを見いだしている。この結果は一様定常状態から周期的な空間変動の状態へ転移することを示唆している。本年度は、この時間発展を求めるため時間と空間について離散化した数値計算を行った。その結果、電場ドメインが形成されること、複数の電場ドメインが時間とともに合体していく場合があることを明らかにした。2.量子ホール系の熱流体力学によるスピン流とスピン偏極の計算実験で観測されている電流に垂直な方向のスピン偏極を、その方向のスピン流の存在によって説明することを試みた。熱流体力学に基づく計算により、スピン偏極の向きについて実験と一致する結果を得た。3.量子ホール系におけるランダウ準位間の化学ポテンシャルの差とランダウ準位間電子移動実験で観測されている秒単位の長い緩和時間とナノ秒単位の短い緩和時間を説明するために、ランダウ準位間の化学ポテンシャルの差を考慮し、ランダウ準位間の電子移動を考えた。熱流体力学的計算により、化学ポテンシャルの差の緩和時間が秒単位になることを明らかにした。
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Physics of Semiconductors: 28th International Conference on the Physics of Semiconductors, eds. W. Jantsch and F. Schaffler(American Institute of Physics, 2007)
ページ: 665-666
ページ: 667-668