研究課題
まず、電子のtransfer energyに異方性、すなわちband構造に異方性がある場合への理論の拡張を試みた。energy spectrumの構造は定性的には井戸層の次元性で決まり、元々のband構造の異方性は定量的な差として効いてくることが判明した。電子エネルギー状態密度と光吸収スペクトルを計算し、各種パラメーターや組成x依存性、および量子井戸の次元性とサイズによる依存性を定量的に明らかにした。これまでの結果を論文にまとめ、JJAP誌に投稿するように準備中である。さらにバンド間遷移については、2体グリーン関数についてのBethe-Salpeter方程式K=G^cCG^v+G^cΓG^vの具体的な表式を求め、1)価電子帯と伝導帯のポテンシャルの相関、2)site energyに関する対角的な乱れ、3)(ε_A≠ε_B)transfer energyに関する非対角的な乱れ(t_<AB>≠t_<AA>≠t_<BB>)の効果について計算中である。一方、実験面では、III-V族化合物半導体としてよく知られているGaInAsに窒素(N)を加え、さらにサーファクタントとしてアンチモン(Sb)を加えたGaInNAsSbについて、試料を低温にしてX線吸収微細構造法によるIn原子周辺の構造を評価した。その結果、熱処理による結晶構造の変化が、Sbを添加しないGaInNAsと比較して小さいことを見出した。これはIn原子とN原子による結晶の局所的な歪がSbによって緩和されている可能性を示している。詳細な検討をさらに行うために、平成17年度ではSb原子周辺の構造を評価する予定である。
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J.Crystal Growth (印刷中)
SPring8 User Experiments Reports No.14(印刷中)
Jpn.J.Appl.Phys. 43, no.4B
ページ: 1944-1946