研究分担者 |
山中 昭司 広島大学, 大学院工学研究科, 教授 (90081314)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
木村 昭夫 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00272534)
佐藤 仁 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (90243550)
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研究概要 |
Si単結晶基板上にCa, Sr, Laを蒸着するとヽ表面反応により、ダイヤモンド構造とは異なる多祥な新規SiネットワークをもつMSi_2(M=Ca, Sr, La)薄膜単結晶が形成される。Siと同じIV族のC(炭素)は、ダイヤモンド構造の他に、グラファイト、C_<60>、カーボンナノチューブなど様々なネットワークを形成するが、Siに関してはこれまでダブヤモンド構造しか知らりてこなかった。本研究では、MSi_2薄膜単結晶を育成し、Siネットワークおよびネットワーク間に存在するMの種類に依存したバンド構造の変化を調べることを目的とした。 最初にSi(111)基板にCaを蒸着させることにより、CaSi_2/Si(111)薄膜単結晶の育成を試みた。RHEED、AESによる評価を行いながら条件出しを行い、基板温度600℃、蒸着速度0.06-0.08Å/sで育成に成功した。育成した薄膜に対し、広島大学放射光科学研究センター、BL7,BL9において、in situで角度分解光電子分光実験を行った。膜厚を大きくするに伴い、Γ-K、Γ-M方向において、フェルミ面をクロスする、Ca3d-Si3p混成バンドが観測された。実験結果は概ねLAPWによるバンド計算の結果と一致するが[1]、膜厚が大きくなるにしたがって、フェルミ波数が大きくなる様子が観測された。また、対称性を反映した六回対称のフェルミ面の観測に成功した。 CaSi_2/Si(111)に対する実験終了後、SrSi_2/Si(111)に移行した。基板温度を700℃にすることで、バンド分散が観測されはじめている。今後Mの種類や基板の方向を変えることにより、MSi_2/Siの電子状態を系統的に調べて行く予定である。 [1]S.Fahy and D.R.Hamann, Phys.Rev.B41,7587(1990)。
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