研究課題
平成17年度は、前年度に明らかにし過渡吸収スペクトルに観測される、コヒーレントのダイナミックスの詳細を定量的に解析した。この結果コヒーレントフォノン振動に、基底状態のフォノンに加えて、大きくソフト化した励起状態のフォノンが観測されていることを明らかにした。励起状態のフォノンの振動の位相が一定の観測光のエネルギーを境に、高エネルギー側と低エネルギー側で180度変化していることを明らかにした。さらに振動の寿命が高、低エネルギー側から中心の位相反転するエネルギーに近づくつれ長くなることが明らかになった。これらのことより、非平衡の光生成ポーラロン、自己束縛励起子が新しい安定点を中心に波束として振動していることを定量的に明らかにした。さらに本年度は金属イオンがパラジウムの場合についても、過渡吸収スペクトル測定を行った。その結果ハロゲンが塩素のパラジウム錯体において、同じくハロゲンが塩素の白金錯体、バンドギャップの幅がほぼ同じ白金-臭素の錯体と比べ、電荷移動励起子から中性ソリトンが高い効率で生成することが明らかになった。これは、白金と比べパラジウムで電子相関が大きくなるため、中性ソリトンが安定化しているためと考えられる。一方、自由電子正孔対からのポーラロン生成には大きな効率の増大は見られなかった。これはポーラロン状態の安定化への電子相関の寄与が中性ソリトンの場合と小さいためであると考えられる。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
Acta Crystallographica, Sect.E E61
ページ: m514-m516
ページ: i123-i125
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Acta Crystallographica, Sect.C C62
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