研究課題
基盤研究(C)
ケイ酸化ナトリウム水溶液に沈めたFeCl_2やCoCl_2などの金属塩粒から成長する自立ケイ酸化金属チューブが水平勾配磁場下でねじれた構造(キラル構造)を形成する現象を見いだした。ケイ酸化金属チューブの成長時は、金属塩水溶液がチューブ内を流れて成長端から放出されている。キラル構造形成には、その金属塩水溶液に含まれている陰イオンに働くローレンツ力が関与していることを実験的に証明した。しかしながら、金属塩水溶液の流れは磁場に平行であるため、ローレンツ力が作用する機構については不明であった。我々は、金属塩水溶液に含まれるイオンのうち、金属イオンはケイ酸金属膜を形成して膜内にとどまるが、陰イオンはチューブ外に放出されて磁場に垂直な運動成分を持ちうることに着目し、そのような陰イオンのマクロな流れにローレンツ力が働いて、成長端の周囲に渦流を発生させ、チューブにねじれを生じさせるというモデルを提案した。そのような渦流を観察するために、ケイ酸化金属チューブの磁場中成長のその場観察システムを開発した。磁場2.2T、B・dB/dx=46T^2/mの勾配磁場において、10wt.%ケイ酸化ナトリウム水溶液中でCoCl_2粒子からケイ酸化コバルトチューブが成長する様子を観察した結果、成長端周囲に渦流が生じるのを観測した。その観察過程でチューブ成長端が時折2本のツメ状になる現象が見いだされた。さらに詳細に成長端を磁場中その場観察することにより、らせん構造は2本のツメが互いに絡み合って形成される二重らせん構造であることを明らかにした。無機物の膜形成において、DNAのような2重らせん構造形成が観察されたのは初めてである。
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第20回熊本県産学官技術交流会講演論文集
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