研究課題/領域番号 |
16540301
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
長谷川 正之 岩手大学, 工学部, 教授 (00052845)
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研究分担者 |
西舘 数芽 岩手大学, 工学研究科, 助教授 (90250638)
家富 洋 新潟大学, 理学部, 教授 (20168090)
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キーワード | グラファイト / カーボンナノチューブ / 密度汎関数理論 / 長距離電子相関 / ファンデルワールス相互作用 / 変形エネルギー / 構造欠陥 / 二次電池 |
研究概要 |
孤立した単層カーボンナノチューブの変形エネルギーに対する計算理論を展開して、動径方向の変形と安定性の詳細を明らかにした。この理論は、円筒状カーボンナノチューブの歪みエネルギーに対する第一原理計算の結果を断面が変形したナノチューブに拡張し、更にそれを長距離電子相関に由来するファンデルワールス的な相互作用で補強するというものである。この計算理論によって、任意の直径をもつナノチューブの種々の変形を理論的に扱うことが可能となり、以下のことが明らかにされた。単層カーボンナノチューブを動径方向に変形させるために必要な最小の圧力は直径の3乗に逆比例し、それは古典的な連続弾性体理論の結果と一致する。直径が25Å以下のナノチューブは動径方向の変形に対して高圧下でも弾性的であり、円筒状の形態が極めて安定である。直径がそれより大きなナノチューブの変形は一定以上の圧力下で塑性的となり、塑性変形でつぶれた断面はピーナツ状となる。直径が70Å以上のナノチューブは、断面がつぶれた形態の方がエネルギー的に安定である(絶対不安定性)。これらの結果は、圧力下におけるナノチューブバンドル(束)の形態を理解する出発点となる。 また、第一原理計算分子動力学の手法を用いて、単層カーボンナノチューブにおける構造欠陥とリチューム(Li)イオンの吸着との関係を調べて、カーボンナノチューブをリチューム二次電池の電極として利用する可能性を検討した。その結果、リチュームイオンは9員環以上の大きな欠陥を通過することが可能であり、チューブに内包されたリチュームイオンは内部で自由に運動できることが明らかになった。このことから、9員環以上の欠陥をもつナノチューブは充電過程で大量のリチュームイオンを内部に蓄積でき、欠陥制御が可能であれば高性能二次電池の電極として利用できることを示唆している。
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