研究概要 |
1.電流が磁化に及ぼす種々のスピントルクを、伝導電子系のスピン緩和を磁性不純物によりモデル化した簡単な場合に微視的に計算した。昨年度の仕事(微小振幅の方法)を拡張して、今年度は任意の磁化配置(変位)を扱うことのできる方法(ゲージ場の方法)を開発した。磁化の減衰機構(摩擦)について新しい物理的描像を得た。(H. Kohno and J. Shibata, J. Phys. Soc. Japan 76(2007)063710 1-4)。 2.一様に磁化した強磁性状態は、大電流のもとで不安定化し、磁気渦の自発的生成が起こることを、シミュレーションにより見出した。生成した磁気渦対の運動を解析的に調べ、シミュレーションで見られる振る舞いを定性的に理解できることを示した。(Y. Nakatani, J. Shibata, G. Tatara, H. Kohno, A. Thiaville and J. Miltat, Phys. Rev. B77 (2008) 014439 1-7)。 3.スピン移行機構に基づいたナノ・モーターを提唱した。 4.京都大学化学研究所の小野グループで行われている、強磁性ドット中の磁気渦のコアを電流で駆動する実験について、代表者はその理論的側面からのアプローチを行った。
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