研究課題/領域番号 |
16540316
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
播磨 尚朝 神戸大学, 理学部, 教授 (50211496)
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研究分担者 |
堀田 貴嗣 日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (00262163)
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キーワード | f電子系 / LDA+U法 / 局在・非局在転移 / フェルミ面 / 結晶場 / 数値繰り込み群法 / 価数転移 / 超伝導 |
研究概要 |
強相関f電子系に対するLDA+U法のプログラムの一般的な拡張を行い、従来は実行不可能であった時間反転対称性の存在しない場合(磁気的な場合)の計算が、一部の系に対してではあるが実行可能となった。例として、CeSbとCeRh_3B_2の強磁性状態の計算を磁気的基底状態や有効クーロン積分Uを変えて行い、実験的に期待される占有状態の場合に、実験結果と対応するフェルミ面が得られる事を確認した。また、非局在・局在転移を示すCeRu_2Si_2の零磁場の計算をLDA+U法で行い、電子状態が占有された非局在電子の軌道にどの様に依存するか調べた。YbRh_2Si_2については、準備計算としてLDA法の計算を行い、基本的な電子構造を得た。低温で価数転移するYbInCu_4については、LDA計算の範囲内で格子定数やCu位置の内部パラメータなどを変化させてCu位置の電場勾配を詳細に調べ、価数転移に伴うNQR周波数の跳びの原因が単純な格子変化や価数変化ではなく、f電子の局在・非局在転移に伴い伝導電子からの電場勾配への寄与が大きく変化するためであるという結論を得た。 さらに、クーロン相互作用、スピン・軌道相互作用、結晶場ポテンシャルを考慮して、充填スクッテルダイト化合物の結晶場状態が希土類イオンによって系統的に変化する様子を明らかにした。さらに、7軌道アンダーソン模型を数値繰り込み群法によって解析し、基底状態がΓ_1一重項でも、わずかな励起エネルギーでΓ_4三重項が存在すれば、低温まで磁気揺らぎが残り、それによって超伝導が発現する可能性を指摘した。
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