強相関f電子系に対するLDA+U法のプログラムの一般的な拡張を引き続き行い、CeSbとCeRh_3B_2などの強磁性状態の計算をさらに拡張させ、CeRu_2Si_2のメタ磁性転移、CeIn_3の圧力誘起磁性・非磁性転移の計算を行った。計算される基底状態がUの大きさや磁場に強く依存することが解り、現在、これらのパラメータを変えた計算を精力的に行っている。また、LDA+U法を用いて電場勾配を計算出来るようにし、Prの4f_2 1重項を仮定した計算から、NQRで与えられるSbの電場勾配の異方性パラメータηが4f電子の異方的な電荷分布に強く依存している事を示した。これは、今後、バンド計算で多4f配置の電子状態を考える上で、NQRの結果と比較する事が重要であることを示している。 さらに、j-j結合による多f電子状態の結晶場状態を考える際に、LS結合と定性的にも一致しないという問題について、有効結晶場モデルを提案した。具体的には、j-j結合でj=5/2の状態間には結晶場の6次の項が寄与しないので、f^2の状態でO_h場のΓ_3基底状態が現れないと言う問題があったが、スピン軌道相互作用の1次摂動の効果を考慮することで、j=7/2からの寄与が入り、LS結合描像と定量的にもよい一致をすることを示した。この方法を用いてT_h場でも同様の結果を示した。この結果は、多f電子系で広く用いられているLS結合描像と電子状態を考える上で基礎となるj-j結合描像を連続的につなぐ方法として、今後一般的に使われると思われる。結果は、論文にして投稿済である。
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