研究概要 |
強相関重い電子系で見られる特異な超伝導は、f電子が遍歴か局在かの微妙な状態をとる場合に発現する。Sm化合物はf電子の局在性が強すぎるため、今までその研究対象ではなかった。本研究の目的は、Sm化合物でも特異な超伝導が発現するか否かを物質探索を通して明らかにすることである。目標を正方晶HoCoGa_5型結晶構造の物質群に絞った。この物質群では、CeTIn_5(T : Co, Rh, Ir)やPuCoGa_5が特異な超伝導として報告されている。この系では、磁気揺らぎが重要な役割を担っていることは間違いないが、詳しい機構は未解決である。f電子数の類推から、Sm化合物ではPuCoGa_5に似た特異な超伝導が発現する可能性が期待される。特にf電子が遍歴側にシフトすると期待されるSmCoIn_5の単結晶育成を主な目標とした。 本年度は、本研究の初年度であった。フラックス法を用いてSmTIn_5(T : Co, Rh, Ir)の単結晶育成に成功した。特に、いままでSmCoIn_5の単結晶の物性報告はなく、本研究で初めて育成に成功した。SmCoIn_5はこの3物質の中で最も反強磁性転移温度が低く、f電子の局在性が弱くなっていることが期待される。複数の転移が確認され、現在、研究が進行中である。 2005年春の日本物理学会、2005年SCES国際会議に成果を公表する予定である。
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