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2004 年度 実績報告書

幾何学的にフラストレートした磁性体の磁気相関

研究課題

研究課題/領域番号 16540325
研究機関東京都立大学

研究代表者

門脇 広明  東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70194876)

キーワードフラストレーション / スピンアイス / 磁性体
研究概要

パイロクロア構造を持つスピネル酸化物の磁性体の研究により、正四面体ネットワーク格子においてフラストレーションの効果が多彩な形で現れることが認識され、実験・理論共に研究が活発になっている。本研究の目的は、パイロクロア酸化物磁性体におけるスピン相関を中性子回折法により直接観測し、フラストレーションの本質を究明することである。第1の目標は、スピンアイス系に[111]方向の磁場をかけることによりカゴメ格子上のスピンの無秩序状態(カゴメアイス状態)を出現させ、そのフラストレーションが部分的解消した状態を調べることとした。この中性子回折実験は、Dy_2Ti_2O_7単結晶に[111]方向の磁場をかけた状態を対象とし、装置は原子力研究所の改造3号炉に設置されている東大物性研究所の3軸分光器を用いた。実験は稀釈冷凍機温度が必要であるため、本補助金を用いて液体ヘリウムを購入し、低温の専門家である田畑吉計(大阪大学理学部)・阿曽尚文(東大物性研究所)両氏の協力を得て行なった。実験の結果、中性子回折強度は比熱、磁化率測定により、カゴメアイス状態であろうと予想されていた温度磁場領域で、確かに特徴的なスピン相関を示すことが分かった。このスピン相関が2次元的な散乱であれば、最近接強磁性交換相互作用によりカゴメアイス状態を安定化させるメカニズムが働いていると結論できると考えている。散乱強度が2次元的であるかどうかは実験的に調べる問題だが、日本には適切な装置がないので、ラウエ・ランジュバン研究所(Grenoble)の原子炉にて測定を行いその解答を出す予定である。本研究の第2の目標は,有効スピン1/2による量子効果が大きいと考えられるTb_2Ti_2O_7におけるフラストレーション機構の解明とした。Tb_2Ti_2O_7の粉末および単結晶試料の熱処理等の酸素量を変える実験を行うべく、本補助金により電気炉等を整備したので、来年度の発展することを期待している。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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