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2005 年度 実績報告書

2次元電子格子系におけるパイエルス転移とフォノンのソフト化

研究課題

研究課題/領域番号 16540329
研究機関東邦大学

研究代表者

小野 嘉之  東邦大学, 理学部, 教授 (30011761)

キーワード2次元パイエルス転移 / 電子格子相互作用 / SSHモデル / 電子相関 / 有機導体 / BOW-SDW転移 / フォノンのソフト化 / スピンパイエルス転移
研究概要

半充填電子バンドを持つ2次元正方格子系では,フェルミ面が正方形になることから,1次元の場合と同様に,1つの波数ベクトル(ネスティングベクトル)でフェルミ面上の異なる電子状態対を結びつけることが可能になり,パイエルス転移が期待されている。我々のグループによるこれまでの研究で,2次元系の場合には,ネスティングベクトルだけでなく,それに平行な多くのベクトルがパイエルス歪みを形成することが示されている。今年度は,このようなマルチモードパイエルス状態に,電子間相互作用や異方性がどのような影響を与えるかを調べた。電子間相互作用の影響については,これまでもハートリー-フォック近似での解析は行っており,BOWとSDWの間の転移が電子間相互作用の強度を変えることで1次転移的に実現することを確かめてあるが,さらにゆらぎの効果を摂動的に扱って電子間相互作用の影響を調べた。電子間相互作用はマルチモード歪みの振幅を増大させる効果はあるものの,摂動で扱う範囲内では,転移点(BOW-SDW転移を起こす電子間相互作用の臨界値)の変化は起こらないことがわかった。電子間相互作用の強い極限は,反強磁性ハイゼンベルグ模型へ射影出来ることが知られているので,そのような場合のスピンパイエルス転移を厳密対角化の方法で調べた。この場合の歪みもマルチモードになることが数値的に確かめられ,従来言われてきたようなものと全く異なるパターンのスピンパイエルス相が,ある程度強いスピン格子結合定数に対して実現することを示した。これらの解析で,2次元系の二量体化の概念を明確にしつつある。
異方性の効果は,先ずフォノンのソフト化の観点から有限温度での解析が行われ,少しでも異方性があれば,フォノンのソフト化で期待されるパイエルス相はネスティングベクトルだけを含む単一モード型であることが分かった。しかし,充分低い温度ではマルチモードパイエルス相が安定であることも数値的に確かめられ,マルチモード,単一モード,高温金属相の間の転移は1次転移と2次転移が錯綜した複雑な転移になることが予想される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005 その他

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Two-Dimensional Spin-Peierls State With a Multimode Lattice Distortion2006

    • 著者名/発表者名
      Shutaro Chiba
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn. 75,No.3

      ページ: 034705(6)

  • [雑誌論文] 2D Peierls State in a Square Lattice - Effect of Anisotropy2005

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyuki Ono
    • 雑誌名

      Synthetic Metals 152,No.1-3

      ページ: 405-408

  • [雑誌論文] Correlation Effect on the Two-Dimensional Peierls Phase

    • 著者名/発表者名
      Shutaro Chiba
    • 雑誌名

      AIP Conference Series, Proc.LT24 (in print)

  • [雑誌論文] Phonon Softening and Multimode Peierls Transition in a 2D Anisotropic Square-Lattice Electron-Lattice System with a Half-Filled Electronic Band

    • 著者名/発表者名
      Chiduru Watanabe
    • 雑誌名

      AIP Conference Series, Proc.LT24 (in print)

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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