研究課題/領域番号 |
16540334
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
長谷 正司 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 主幹研究員 (40281654)
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研究分担者 |
小澤 清 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料研究所, 主幹研究員 (90343855)
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キーワード | A_2Cu_2Mo_3O_<12>(A=Rb or Cs) / 磁性 / 競合系 / 1次元系 / 帯磁率 / 高磁場磁化 / 厳密対角化 |
研究概要 |
Rb_2Cu_2Mo_3O_<12>の粉末試料を固相反応法で作製し、帯磁率、高磁場磁化、電子スピン共鳴の測定を行った。実験と理論計算の結果の比較から、Rb_2Cu_2Mo_3O_<12>が第1近接相互作用(J_1)が強磁性で第2近接相互作用(J_2)が反強磁性であるスピンが1/2(S=1/2)の1次元ハイゼンベルグスピン系(競合系)のモデル物質であることが分かった。相互作用の値は、J_1=-138K、J_2=51K(α=J_2/J_1=-0.37)ともとめられた。このαの値から基底状態は非磁性のインコメンシュレイト状態となる。また、J_1とJ_2の値より充分小さな2Kまでで磁気秩序は見られなかった。一方、他のモデル物質では反強磁性秩序が見られる。従って、Rb_2Cu_2Mo_3O_<12>は、実験的には未確認であるインコメンシュレイト状態を研究するためには、最適なモデル物質ということになる。今後、核磁気共鳴やミューオンスピン共鳴の実験を行い、内部磁場の様子を調べることが重要である。 同様に、Rb_2Cu_2Mo_3O_<12>と同じ結晶構造を持つCs_2Cu_2Mo_3O_<12>の粉末試料を作製し、磁性の研究を行った。第1近似的には、競合系の物質であることが分かり、J_1=-93K、J_2=33K(α=J_2/J_1=-0.36)ともとめられた。しかしながら、理論計算からのずれは小さくなく、考慮していない他の磁気相互作用(おそらくは鎖間の磁気相互作用)によるものだと思われる。実験と理論との不一致の原因については引き続き調査中である。
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