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2006 年度 実績報告書

小さな非平衡系における揺らぎ、応答、熱力学

研究課題

研究課題/領域番号 16540337
研究機関東京大学

研究代表者

佐々 真一  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30235238)

キーワードゆらぎ / ジャミング転移 / ガラス転移 / 応力異常 / ナノ流体
研究概要

ナノ流体の振る舞いなど、標準的な流体方程式で記述されない「異常な流れ」の本質として、ジャミング転移(ガラス転移)にともなう揺らぎの異常性があるとされている。異常な流れとこの転移の関係、および、この転移における揺らぎの性質について、以下の成果を得た。
1応力の異常性は、2体分布関数の異常性で表現されるはずなので、非平衡条件下における2体分布関数の振る舞いに焦点をあてた。小さな系における2体分布関数がずりに対して不安定になるので、その不安定性が発生する分岐点で2体分布関数の動力学を縮約すると、Ginzburg-Landau方程式と同じ形になることがわかった。このことから応力異常を特徴づける指数を計算した。この結果は、数値実験により確認された。
2ジャミング転移においては、ある時間間隔でおこる事象(動的事象)が協同的に振る舞い、臨界現象的性質を示すと予想されている。その予想についての新しい理論を提案した。
1)対象をパタン形成に関係するガラス系に限定し、時間相関関数に対するオーダーパラメータ記述を行った。ある極限でのパタン形成点からの展開により、時間相関関数の満たす式を2変数の常微分方程式にまで縮約することができる。その力学系的記述の立場では、ジャミング転移はサドル接続分岐として捉えられる。
2)平衡系の臨界現象に対するGinzburg-Landauアプローチにならい、空間局所的にサドル接続分岐を示す系が空間的に拡散結合し、揺らぎを受けているモデルを解析した。時間方向に特殊な構造をもつ軌道がドミナントなときの経路確率測度を解析する新しい方法を開拓した。具体的には、経路確率密度を生成する仮想的確率過程を導入し、その確率過程に対して特異摂動法を適用する。これにより、動的:事象の揺らぎの振幅、時間、空間についての発散を特徴づける臨界指数を計算した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] A theory for critically divergent fluctuations of dynamical events at non-ergodic transitions2007

    • 著者名/発表者名
      M.Iwata, S.Sasa
    • 雑誌名

      Europhys. Lett. 77

      ページ: 50008

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] An order parameter equation for the dynamic yield stress in dense colloidal suspensions2006

    • 著者名/発表者名
      M.Otsuki, S.Sasa
    • 雑誌名

      J. Stat. Mech.

      ページ: L10004

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Steady state thermodynamics2006

    • 著者名/発表者名
      S, Sasa, H, Tasaki
    • 雑誌名

      J. Stat. Phys. 125

      ページ: 125

  • [雑誌論文] Non-ergodic transitions in many-body Langevin system : a method of dynamical system reduction2006

    • 著者名/発表者名
      M.Iwata, S.Sasa
    • 雑誌名

      J. Stat. Mech

      ページ: L10003

  • [雑誌論文] Systematic derivation of coarse-grained fluctuating hydrodynamic equations for many Brownian particles under non-equilibrium conditions2006

    • 著者名/発表者名
      T.Nakamura, S.Sasa
    • 雑誌名

      Phys, Rev, E 74

      ページ: 031105

  • [雑誌論文] Energy dissipation and violation of the fluctuation-response relation in non-equilibrium Langevin systems2006

    • 著者名/発表者名
      T.Harada, S.Sasa
    • 雑誌名

      Phys, Rev, E 73

      ページ: 026131

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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