研究概要 |
本計画の最終目標は任意の強さの不規則性と粒子間相互作用を持つ多体量子系を記述する有効理論の構成である。初年度である本年度は主にこの目標に必要である手段としての、相互作用を持つ乱雑系に対するレプリカ法の形式の整備に従事した^*。また多くの発表機会で本研究の概括と現在までの成果を専門研究者に周知させるとともに意見交換・情報収集を行った^#。 ^*研究代表者(望月)、研究分担者(永尾)、海外共同研究者(Verbaarschot)はCiC Cuernavacaでの研究プログラムにおいて3週間にわたり直接議論を重ね、直交およびシンプレクティック不変性をもつランダムハミルトニアンに対する、格子可解系(Pfaff lattice hierarchy)に基づく厳密なレプリカ法の開発に成功した。時間反転対称性を保つ量子系、およびゲージ群の実表現に従うクォークを含むゲージ理論を扱う際に、レプリカ法のこれらのクラスへの拡張は必須となる。この手法はユニタリー対称性を持つ場合においてVerbaarschotらが開発した手法の自明でない拡張である。現在この成果およびその応用についてメールやビデオチャットでさらに討論し、論文化の途上にある。 ^#研究代表者は以下の招待講演を行った 理化学研究所理論物理学研究室セミナー(16.4.6);京都大学基礎物理学研究所LGT Mini Workshop(16.5.25);物性夏の学校サブゼミ(16.8.1);CiC Cuernavaca, Mexico国際会議"Perspective on RMT"(16.8.23);京都大学基礎物理学研究所集中講義・セミナー(16.10.18-19)・理化学研究所理論物理学研究室集中セミナー(16.10.30);京都大学基礎物理学研究所研究会"格子ゲージ理論の新しい芽と発展"(16.12.10);龍谷大学理工学部セミナー(17.3.10)
|