研究概要 |
4次元Euclid空間R^4(またはR×R^3)における(反)自己双対Yang-Mills場を構成する方法としてADHM(またはADHMN)構成法がある。本研究代表者と分担者は前論文で,等比数列的間隔を持って位置する点からなる区間I_q:={±1/2,±q/2,±q^2/2,…}(qは実パラメータ)で定義された無限次元Hilbert空間l^2に基づく上記構成法のq-類似を提出し,1パラメータqを持つ(反)自己双対Yang-Mills場を構成した。また,多重モノポール配位を記述するNahm方程式のq-類似として,次のq-Nahm方程式を派生的に得た。D_qはq差分演算子である。 D_qT_j(z)=(1/2)ε_{jkl}(T_k(qz)T_l(z)-T_1(qz)T_k(z)),j,k,l=1,2,3. 本研究では上記研究期間内に以下の諸点を明らかにした。 1.q-Nahm方程式にEuler top(こま)型簡約を行って得られるq-差分方程式は特異点閉じ込めテストを通過する。 2.q-Nahm方程式にFlaschka流の戸田型簡約を行って得られるq-差分方程式に1つの保存量が存在する。 3.S^1×R^3において知られているCaloron解のq-類似として,ADHM構成法に基づいてqの他にパラメータを1つ持つ(反)自己双対Yang-Mills場が構成できる。 4.Nahm方程式とEuler top(こま)方程式との間の関係を明らかにし,これらの方程式が持つ解の間の関係を楕円関数の加法定理を用いて与えた。 5.CBS方程式の既存解から派生する不連続性を持った解について考察した。 6.1/3階 Riemann-Liouville微分積分作用素が存在する場合の拡張KP階層を考察した。 7.q-Nahm方程式に対して代数的エントロピーの予備的計算を行った。これを厳密に計算することは今後の研究に残された。
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