研究概要 |
1.3次元イジング模型の自由エネルギーの高温展開を温度の逆数の46次から50次に拡張し,また,帯磁率と相関距離(2次モーメント相関距離)を32次から34次に拡張した.この結果,特に帯磁率と相関距離の高温展開級数から,系の臨界温度と臨界指数について32次で得られる値よりさらに数倍精度の良い値を得た.この結果は現在論文にまとめているところである. 2.平成17年度以降に予定している3次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するための予備的研究として,2次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するためめ手法を開発し実行した.まず,1995年に有末・田畑が開発した各サイトの自由度が3以上の場合に有効な有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版を適用して(XY模型は各サイトの自由度が無限大である),自由エネルギーを温度の逆数の48次まで,また帯磁率を28次まで求めた.ちなみに従来のダイアグラムによる高温展開の方法では,各々20次までしか得られていなかった.この結果は現在論文にまとめているところである.さらに3次元イジング模型の高温展開において2000年に有末・藤原が開発した有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版(単純な有限格子法では計算量がNの指数関数に比例していたものを,NlogNに比例するように劇的に改良した)を2次元XY模型の高温展開に適用する手法を開発し,計算コードも完成させた.この改良版により,帯磁率を36次まで拡張することが可能である.この計算の実行は平成17年度当初に行う予定である.
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