研究概要 |
本研究課題の最終目標である3次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するための予備的研究として,2次元XY模型の諸量の高温展開の高次計算を実行するための手法を開発し実行している.一昨年度は1995年に有末・田畑が開発した各サイトの自由度が3以上の場合に有効な有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版を適用して,2次元XY模型の自由エネルギーを温度の逆数の48次まで求めていたが,係数が多倍長精度数であるため十分な精度が得られていなかったが,多倍長有理数を厳密に取り扱う手法を開発し,各次数の係数を厳密な有理数として求めた. また昨年度までに,3次元イジング模型の高温展開において2000年に有末・藤原が開発した有限格子法による高温展開級数の生成法の改良版(単純な有限格子法では計算量がNの指数関数に比例していたものを,NlogNに比例するように劇的に改良した)を2次元XY模型の高温展開に適用する手法を開発し,これを用いて帯磁率を温度の逆数の33次まで拡張していたが,今年度は同じ手法を用いて,2次元XY模型の2次モーメント相関距離と4次モーメント相関距離について,温度の逆数の33次までの係数を求めた.今年度は,有末・田畑の方法と有末・藤原の方法をハイブリッド的ではなく,真に有機的に結合させるアルゴリズムを完成させ,これを用いて2次元XY模型の高温展開を実行するコードを開発した. これらの研究により,3次元XY模型の諸量の高温展開を有限格子法を用いて効率的に実行するアルゴリズムについて見通しが立ち,現在完成に向けた研究を遂行中である.
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