研究課題
時間依存組替えチャネル結合(TDCRC)法の計算コードの開発を行うと同時に、この新しい計算方法の骨格となる時間依存チャネル結合(TDCC)法および組替えチャネル結合(CRC)法を用い様々なクーロン少数多体系に適用して計算を行い、TDCRC法の有効性を検討した。陽電子とヘリウムイオン散乱(He^++e^+)における共鳴状態について、TDCC法により散乱による時間の遅れを計算から共鳴状態の存在を示し、エネルギーと幅を決定した。これにより共鳴状態の存在に纏る十数年来の論争を解決した。同時に、CRC法による変分計算によりこの共鳴状態の構造および性質を明らかにした。反陽子を含む反陽子ヘリウム原子三体系をCRC法により精密計算した。計算結果は最新の実験値と数10ppb(10^<-9>)の精度で一致した。この一致により反陽子質量を10ppb以上の精度で決定できるようになった。この結果は、反陽子質量に関して現在世界最高の精度であり、陽子の精度(4.6ppb)に迫りつつある。ミュオン分子(dtμ)を含む水素原子のエネルギー準位とオージェ崩壊幅をCRC法により精密計算した。この計算値は、本研究課題であるミュオン触媒核融合におけるミュオン分子生成率を決める重要なパラメータの一つである。従来の計算は摂動法による計算しかなく、しかもその収束は悪かった。今回は変分法により四体系を直接計算し、このパラメータを決定した。本年度は、TDCRC法の計算プログラムの要素であるTDCC法とCRC法を用いて上記の計算結果を得る事が出来た。これによりTDCRC法は少数多体系の散乱状態と束縛状態をうまく記述する事が分かった。同時に、本研究を通じてTDCRC法に関する様々なノウハウを蓄積する事が出来た。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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