研究課題/領域番号 |
16540360
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
立川 真樹 明治大学, 理工学部, 教授 (60201612)
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研究分担者 |
島田 徳三 明治大学, 理工学部, 教授 (10162679)
小田島 仁司 明治大学, 理工学部, 助教授 (50233557)
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キーワード | カオス / 量子カオス / 原子光学 / アトムチップ |
研究概要 |
1.原子のカオス運動 アトムチップの1つである磁気誘導路内の原子の運動を、シミュレーションにより解析した。周期的に磁化した磁気テープによる磁場に定常横磁場を印加すると、テープの上空には零磁場になる点が周期的に並び、ここにlow-field seeking状態の原子がトラップされる。横磁場に時間的な変調を加えたところ、原子の運動かカオスになることが見いだされた。 Imperial Collegeでの実験では、定常変調に伴うアトムチップ上の原子集団の温度上昇を観測した。温度を変調周波数に対してプロットしたパラメトリック励振スペクトルは、ブロードなものとなり、トラップポテンシャルが非調和であることをよく反映している。スペクトル形状は、シミュレーション結果ともよく一致することから、実際にこの状態で原子かカオス振動していることがわかる。ただし現状では原子の温度は10μK程度であり、量子性が現れるほど冷却されてはいない。 2.比熱の変化を利用した原子集団の冷却 通常、物体の温度を変化させるためには、熱源を接触させて熱の出入りを起こすか、圧縮・膨張によりその物体に仕事を及ぼす。いずれにしろ、物体の内部エネルギーを増減させることにより、温度を変えるのが普通である。これに対して、アトムチップ上においてトラップポテンシャルを形成する磁場の形状を変化させることにより、原子集団のエネルギーを保存したまま、温度を変化させる方法を見出した。熱平衡状態における調和型ポテンシャルのポテンシャルエネルギーが1/2k_BTであるのに対し、四重極型ポテンシャルのエネルギーはk_BTとなる。したがって、原子集団にnetに仕事をすることなくポテンシャル形状を変えることができれば、比熱の変化に伴い温度を変えることができる。現在検証実験かImperial Collegeにて進行中である。
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