研究課題
基盤研究(C)
超高圧合成法で製作された人工ダイヤモンド素子の表面を化学処理し電極を取り付け放射線検出器として製作した。このダイヤモンド放射線検出器の漏れ電流やα線照射におけるエネルギー分解能が大強度粒子線照射後の性能に変化がないか検査することにより、ダイヤモンド検出器の性能の劣化が生じないか調べた。当該補助金により、ダイヤモンド検出器の性能評価を行うため、真空チェンバー、真空ポンプ等の真空系や高精度の前置増幅器等の電子回路系を準備し、Am241のα線を真空中で照射した際のダイヤモンド検出器によるエネルギー分解能を評価対象とした。また、同時に漏れ電流も高精度のピコアンペアメーターにより計測し、ダイヤモンド検出器に逆電圧を十分に印加できるかどうか確認した。放医研HIMACの中エネルギービームコースで6MeV/uヘリウム線ビームを1.1×10^<13>個/cm^2、および、物理汎用照射室で430MeV/uの炭素線ビームを2.1×10^<11>個/cm^2の大線量の重粒子ビームを照射したが、漏れ電流やエネルギー分解能などに大きな劣化は生じなかった。シリコン半導体検出器ではα線において1×10^<11>個/cm^2程度、3×10^8個/cm^2程度で劣化が起こることが示されている。今回照射した炭素線はより放射線損傷が大きいと推測され、また、人工ダイヤモンド検出器を貫通していることから、素子全体にわたって、影響がでることが推測される。よって、製作した人工ダイヤモンド検出器は放射線に対して非常に高い耐久性があることが推測される。また、放射線検出器としての製作方法(化学処理)にも重要な示唆をえた。
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Nuclear Science Symposium Conference Record, 2005IEEE 3
ページ: 1416-1418
Nuclear Science Symposium Conference Record, 2005 IEEE 3