研究課題/領域番号 |
16540366
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山本 隆夫 群馬大学, 工学部, 教授 (80200814)
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研究分担者 |
土橋 敏明 群馬大学, 工学部, 教授 (30155626)
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キーワード | マイクロカプセル / 緩和現象 / 非平衡熱力学 / マイルドな緩和機構遷移 / ゲルの膨潤収縮ダイナミックス / 液晶ゲルカプセル / スケーリング則 / 自己組織化現象 |
研究概要 |
1.コア溶液および分散媒溶液起因の緩和機構の遷移メカニズムの解明 マイクロカプセル系全体を膜壁高分子も含めて3成分系と考え、2成分溶液の放出挙動を記述する精度の高い理論モデルを構築した。エントロピー生成速度に基づく非平衡熱力学を用いて、放出挙動を放出2成分溶液の自由エネルギーで記述する一般形式を導出した。放出溶液の自由エネルギーとしてFlory-Huggins型のものを選ぶと、放出溶液の相分離等の極端な現象を仮定しなくても、自由エネルギーの関数形に依存して放出速度の変化、放出の停止等の複雑な挙動が起こりえることが分かった。さらに、Changらの論文(Colloids Surf.B Vol.30p.123 2003)の実験データを最解析した結果、定性的に理論と合うことが分かった。自由エネルギーの関数形に依存した放出挙動の変化を、相分離にともなう激しい緩和機構の遷移とは別にマイルドな遷移と考える必要があることが分かった。 2.モデル系による壁膜起因の緩和機構の遷移メカニズムの解明 放出溶液よる壁膜高分子の膨潤収縮挙動をエチレングリコールモノイソブチルエーテルと水の2成分溶液中のポリアクリルアミドゲルをモデル系として理論実験から調べた。溶液の緩和はゲルの緩和に比べずっと遅く、二つの緩和現象は分離できることが分かった。壁膜の膨潤収縮の放出挙動への効果を考える際にあらたな時定数の導入は必要なく、膨潤収縮による緩和機構の遷移は(1)での議論とよく似たマイルドなタイプであることがわかった。 3.自己組織化液晶ゲルカプセルの形成プロセスの解明 カードラン、DNA等の透析による液晶ゲル形成過程を液晶ゲルカプセルという視点に基づき(1)で構築した理論モデルを用いて解析した。イオンの放出、流入が液晶ゲル形成の律速過程になっていると考えることで、実験的に観測されている種々のスケーリング則が説明できた。
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