研究課題
基盤研究(C)
16年度には、前年度に開始していたマリアナでの日米合同長期海底地震観測のデータ回収を4〜5月に実施した。設置した海底地震計は総数で58台であったが、データ回収率は約8割であった。5月20〜21日に米国側代表者であるDouglas Wiens教授が来日し、今後のデータ交換・データ解析分担について関係者を交えた会合で議論した。このデータによる予備的な地震検出と震源決定によれば、背弧海盆の拡大軸に沿ったものと前弧側の泥火山周辺での地殻内の活発な地震活動が見出された。これらはパイロット観測として2001年に行った長期海底地震観測でも見られ、ほぼ定常的な地震活動であると考えられる。また、約1年間分の地震記録を読み取った到着時刻データを用いて、震源と速度構造の同時決定を行ってきた。約3000個の地震を検出したことで、先験的情報を入れずに沈み込む太平洋プレートの様子を見出すことが出来ている。また、詳細な震源分布が得られ、陸上観測網で決定されたものには大きな水平的偏差が含まれていることも明らかにし、12月にAGU学会でポスター発表した。17年度は、2001・2003年の両データの解析を米国側と協力し継続した。また、マリアナ海域における未回収長期型海底地震計の潜水回収調査を7月に実施し、本研究に関わる3台の回収を無事に完了した。これにより、2度の長期海底地震観測での使えるデータ全てが揃ったことになり、日米の関係者間で必要なデータ交換もほぼ完了した。2001年のデータ解析では、潜水回収した2台の海底地震計のデータを加えて地震記録を再度読み取り、震源と速度構造の同時決定を再度行った。観測点配置が改善され、背弧側のマリアナトラフ内での浅い震源分布がより明確に得られるようになった。二重深発面は、さらに詳細な様子が得られ、前弧側の巨大蛇紋岩泥火山付近その上面部分が始まっていることが分かった。2003年の観測データ解析は主に米国側で進められており、S波異方性・表面波解析・震源決定・実体波トモグラフィーなどを行っている。これらの研究成果は、12月のAGU学会にて口頭で1、ポスターで6の発表がなされている。
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Geophys. Res. Lett. 33・L02313
ページ: doi:10.1029/2005 GL024523
Geophys.Res.Lett. 33
ページ: L02313, doi:10.1029/2005GL024523
Eos Trans. AGU, Fall Meet. Suppl., Abstract 86・52
ページ: T53A-1407
Eos Trans.AGU, Fall Meet.Suppl., Abstract 86 52