地球のテクとニックな活動の様相は、25億年前の太古代・原生代境界において大きく変化したことが知られている。この変化の原因を解明するため、放射性元素の崩壊に伴いマントルにおける内部熱源の強さが減衰したことによって、25億年前にマントルの熱化学的状態やマントル対流の様式に原理的にどのような変化が起こりえたかを調べた。すなわち、プレート運動を含むマントル対流と火成活動の数値モデルにおいて、リソスフェアが(1)力学的に比較的柔らかく、自由に動けるプレートとして振る舞う場合(弱いプレートのレジーム)、(2)力学的に固く剛体の板のように振る舞うがそれでもなおプレートとして動く場合(強いプレートのレジーム)、(3)固すぎて全く動かない殻として振る舞う場合(スタグナントリッドのレジーム)の3通りの場合について、マントルの内部熱源の強さを様々に変化させ、火成活動やマントル対流の起こり方、マントルの温度・化学組成分布にどのような特徴が現れるかを調べた。これまで得られた結果によると、強いプレートのレジームでは、内部熱源がある閾値より強くなると、活発な火成活動のためマントルは化学的に分化し、下部マントル深部にちょうど地震波トモグラフィーで見られるようなブロードな熱化学的な不均質性が生じ、その高温部分から時折プルームが上昇し、大規模なホットスポットの火山活動を起こすことがわかった。さらに、弱いプレートやスタグナントリッドのレジームではこれほどはっきりした閾値が見られず、特に、スタグナントリッドのレジームでは、内部熱源を地球に期待される値としてはかなり強い値にしても、このような閾値は現れないことを示唆する結果が得られた。
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