研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、原始惑星の衝突を流体数値計算によって再現し、衝突の前後での質量と角運動量の再分配を定量化することである。原始惑星は、月程度以上の質量をもつ成長半ばの天体であり、現在の金星、地球、火星領域にこのような原始惑星が十数個生まれ、それらの相互衝突によって現在の惑星系が形成された。この過程を惑星形成後期過程と呼ぶ。惑星形成後期過程は、惑星の数や間隔と言った現在の惑星系の特徴を決定した重要な過程であるが、その具体的な描像は明らかでない。本研究では、Smoothed Particle Hydrodynamics法と呼ばれる流体数値計算法を利用する。原始惑星程度の大きさでは、天体を構成する物質の強度よりも自己重力が支配的である。このため、惑星を自己重力流体として近似することができる。加えて必要な状態方程式についてはポリトロープ方程式を用いる。ポリトロープ指数を系統的に変えることにより、惑星内部の密度構造を変化させ、衝突に与える影響を考察する。まず地球質量の天体に、地球質量の1/20から地球質量までの異なる質量をもつ天体を衝突させ、衝突後の量再配分を再現した。重力相互作用による潮汐効果によって直接衝突しない場合でも質量の再配分が起こり、衝突断面積に換算した場合、3倍程度に断面積が大きくなる効果があることを確認した。惑星の内部構造は、惑星進化の過程や構成物質により多様である。ポリトロープ指数を3、4、5と変化させることでこの内部構造の衝突への影響を確認した。この結果、質量の再分配率を衝突の角運動量と質量比の関数として表すことに成功した。この結果は惑星集積の解析に有用であり、今後、分野への適用が必要である。
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