研究概要 |
2005年2月,東海大学は大漢技術学院(台湾)と共同で,台湾東部の花東縦谷北端付近で地下速度構造を明らかにするため,採石発破を利用した屈折法地震探査を実施した.花東縦谷は台湾では特に活動的な構造線の一つで,地震活動度が極めて高い.そのため,過去にも被害地震が発生したが,地下構造についての詳しい資料が乏しいというのが現状であった.詳細な地震活動を把握するためには,地下速度構造が不可欠である.採石発破は,この地域で繰り返し実施されているので,その振動を利用すれば容易に地震探査のための臨時観測が実施できる.今回の観測では,約30kmの基本測線に約1kmの間隔で34点の臨時観測点を設けた.この測線は,花東縦谷の西縁辺部に沿い,かつ縦谷と平行となっているため,地下構造も比較的複雑ではないと予想される,測線の北端の採石発破場では,定期的に採石発破が実施され,今回の観測では5320kgのダイナマイトによって発破された.その結果,振動は一番遠方に設置した約32km離れた観測点まで波形が確認された.見かけ速度は約4km/sec以上と比較的早い.今回はこの北側の発破しか観測する機会がなかったが,今後もデータを補充していくことにより,詳細な構造を考察していく予定である. ENVISAT/ASARデータを入手し、花東縦谷北部地域を対象とする地殻変動現象を把握するための干渉画像処理、解析を実施した.その結果、プレート境界に位置する対象地域における変動現象を反映すると考えられる干渉画像を得ることができた.これらは、海岸山脈と中央案脈に挟まれる花東縦谷がプレート運動によって圧縮を受け、上下方向に変動していることを示す状況を表現している.この干渉画像をもとに、同地域に分布する活断層との相関を考察するために、活断層周辺の地形調査も実施した.
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