研究課題
基盤研究(C)
本研究テーマである、「北部および南部北上帯堆積性炭酸塩の酸素同位体比を二次的に改変させた地質事件を特定」するために、北上地域に分布する、石炭紀から古第三紀までの地層から堆積性炭酸塩鉱物を採取し、その炭素・酸素同位体比を測定した。結果は以下のようにまとめられる。1.大島造山運動(白亜紀前期)以前に堆積した石灰質頁岩・砂岩および石灰質ノジュールの炭酸塩(主に方解石)の酸素同位体比は、6.4〜17.8‰(平均13.7‰)という低い値を持つ。2.大島造山運動以降に堆積した白亜紀前期宮古層群・白亜紀後期双葉層群に産する試料の炭酸塩(主に方解石)の酸素同位体比は、海成炭酸塩としてほぼ初生的な酸素同位体組成(25〜30‰程度)を持っている。3."1"および"2"の結果は、大島造山運動以前に堆積した地層が^<18>Oに乏しい水性流体の浸透を受けて、それらに含まれる炭酸塩鉱物の酸素同位体比が二次的に改変した結果、と解釈される。4.その酸素同位体比の二次的改変の原因となった^<18>Oに乏しい水性流体の浸透は、白亜紀前期の大船渡層群の堆積後も継続していたが、白亜紀前期の宮古層群の堆積時には終わった。5."4"から、水性流体の浸透は、白亜紀前期の大島造山運動に関係していると推定される。
すべて 2006
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Geology and Geophysics (In press)